見聞読考録

進化生態学を志す研究者のブログ。

米大統領選挙

現在開票中の米大統領選挙。予想外にも手に汗握る展開を見せている。トランプ氏がこれほどの票を得るとは,驚きを隠せない。

 

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聞くに耐えない暴言を繰り返すトランプ氏のどこが良いのか,僕にはさっぱりわからない。何よりこの全球的な環境危機の時代に,環境問題に理解のないヒトが大統領でいられては世界中が困ってしまう。地球が致命的なダメージを受ける前に,次期大統領は是非ともバイデン氏にお願いしたい。

 

The Love - @Black Eyed Peas and Jennifer Hudson | Joe Biden for President 2020
https://www.youtube.com/watch?v=G3U1YkOOHfk

 

願いを込めて,Black Eyed Peas の動画を貼っておこう。しかし,あちらのアーティストは政治的な発言を自由に,かつ自主的に行っていて素晴らしい。日本ではいまだに,アートに政治を持ち込むなとか,スポーツに政治を持ち込むなとか,大声で騒いでいる方々が多いようだが,未熟であると言わざるを得ない。民主主義国家において政治に関心を持つことは,全てのヒトの権利である。そしてアーティストやアスリートもヒトである以上,政治的な発言をする権利がある。アメリカも相当に問題の多い国だが,上記の点においてまともなのは,素直に羨ましい。

 

先に,政治に関心を持つことは権利,と書いた。しかし実際のところは,数少ない義務のひとつだろうと思っている。何しろ,勝手にすれば?と,全てを任せてしまえば,知らぬ間に飼い殺され,食い物にされてしまうのはわかりきっているのだから。政治に無関心でいて良いのは,鎖に繋がれ,割り振られた小屋に住まわされ,ただ命令を聞いて尻尾を振るだけの「犬」になる覚悟のあるヒトだけだと思う。

 

 

見聞読考録 2020/11/05

自然保護協会による日本学術会議会員の任命拒否に対する抗議声明

自然保護の観点から日本学術会議会員の任命拒否に抗議する声明 - 2020年10月13日

www.nacsj.or.jp

 

アカデミアの外からもこのようなまともな意見が出ると,たいへん救われる思いがする。日本学術会議は,どこからどう見たって,多くの国民の味方である。権力者の代表とも言える時の政権が暴走しそうになる度に,専門家の立場から正面切って反対の意見を述べるのだから,それはもう弱者の味方,ヒーローそのものだ。ややもすると権力者に搾取されてしまいがちな圧倒的大多数の国民の最後の砦とも言える組織である。この度の騒動は,政権の暴走に NO を突きつけるような,悪事を企む政権にとっては目の上のたんこぶのような正義の組織を,圧倒的な権力を恣(ほしいまま)にする政権が,我が物顔で潰そうとする構図そのものである。

 

それなのに,世間からのこの叩かれ方は何なのだろう。この事件は,政権の不祥事以外の何物でもない。よくわからぬまま,日本学術会議の理念も意義も知らぬまま,長いものに巻かれて不適当な批判を加えている人々が多いように思う。長いものに巻かれるのが好きなのだろうか,だとすればたいへん残念なことである。日本がまたひとつ独裁国家に向けて突き進み,決定的にダメな国になるのかどうか,その境目にいると言える。皆が他人事と思わずに,考えるべき事件と思う。

 

 

見聞読考録 2020年10月13日

子供の日記

小学生の書く文章というのはどうしてこうも面白いのだろう。もとい,自分が小学生のときに書いた文章はたぶんちっとも面白くなかった,作文は嫌いだった。大嫌いだった。

 

ウチの二番目の子の書いた文章だから,面白いのだろう。彼は,なかなか文才がある。一番上の子もとても文才があるが,こちらはもはや大人顔負けの上手な文章を書くので面白くないので紹介しない。

 

というわけで,二番目の子の日記をここに,全世界に向けて発信したい。学校の宿題としてやっつけ仕事で書かれたこれらの日記である,片付けのできない二番目の子の手にかかれば,油断した隙に「もう捨てた」などと言われかねない。どういうかたちでも残しておかなければいけない気がする。需要があるかどうかは知らないが。。

 

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2020年04月22日「誕生日」

今日はお父さんの誕生日。

ほんとうは、今日ではない、じつはバヌアツという国での誕生日ででもそのときはお母さんのケーキが食べられなかったから今日、お母さんがお父さんにケーキを作ってくれました。

そのケーキはぼくのすきなショートケーキ!ぼくの一ばんすきなショートケーキだったんです!

 

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2020年04月23日「にわ(1)」

ぼくは、今日の日をたのしみにしていました。

どうしてかと言うと、今日ぼくは、にわにやさいをうえるために、にわをきれいにしました。

そのさい中にだんご虫を三ひき、ミミズを二ひき、見つけました。

そうしているあいだにもうごはんができそうになりました。だからもうおふろに入りゆっくりしました。

 

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2020年04月24日「にわ(2)」

今日ぼくは昨日のつづきをやりました。

ぼくは今日もたのしみにまっていました。今日はだんご虫を四ひき、くもを三ひき、ガを一ぴき見つけました。

ざっそうぬきをしているあいだにもうごはんができそうになったから、お母さんの手つだいをしはじめました。でも体がきたないのでおふろに入ってからごはんを食べることにしました。

 

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2020年04月26日「にわ(3)」

今日もぼくはにわで土をたがやしていたら、お兄ちゃんがきて、てつだいをしてもらいました。

そしたらお父さんもきててつだいをしてもらいました。にわの土は石がたくさんあります、だから石と土をわけました。

そのあいだにパンを作っていてそのパンはちぎりパンでもちもちでいつもよりおいしいパンでした。

  

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2020年05月01日「朝ごはん」

今日の朝ごはんは、あんかけやきそばです。

あんかけやきそばには、うずらのたまご、にんじん、しいたけ、ちんげんさい、ぶた肉が入っていました。

あんかけやきそばは、ぼくにとって四つ目においしいりょうりで、一位はカレーで、二位はやきそばです。

あんかけやきそばはほんとうにおいしい食べものです。

 

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2020年05月02日「せんたっき」

朝おきて、ごはんを食べていたら。トラックがきて、なんかをはこんできました。

それはせんたっきでした、そのせんたっきは白で、大きいせんたっきです。

この家には、ぴったりのいろでした。せんたっきがくるのがおそかったからそのあいだは、コンランドリーでせんたくしていました。

 

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2020年05月14日「時間がやばい」

今日は、と山をする日、今日と山する山は、高社山、高さは千三百五十一メートルで、スキー場です。

でも今日は、と中からのぼります。スタートした時間は五時です。六時になりました。ぼくはグニャグニャみちをあるいています。七時にやっとちょうじょうにつきました。そこでおだんごを食べていたら、くらくなってきました。ぼくたちは、はしって、じょうきゅうしゃコースをいそいでかけぬけました。かえってきた時間は八時になりました。

 

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2020年05月28日「にわ(4)」

今日は、ひさしぶりににわをやろうと思ったら、にわにくさが、はえていたから、なんのくさかにおいをかいでみたら、そのくさは、しそだった。

だからお父さんが、言いました。「そのしそとっといて。」そのあとにわの土をすてるさぎょうをしました。

やっとにわの三分の一が終わりました。つかれました。

 

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2020年06月10日「にわ(5)」

今日は、お父さんが大学でしごとをしています。大学に行く前に、ぼくにこう言いました。

「にわやっといてね。」そう言われてお母さんとやさいをかいに行きました。

もともと、家にはしそと、ねぎしかうえていません。そこでトマトをかってうえました。水をあげるのにじょうろを作って水をあげました。

 

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2020年06月16日「にわ(6)」

ぼくが学校からかえってきて、工作をしていたら、お父さんがにわで土をほりはじめました。 

お父さんが土をほっているあいだに、ぼくは、どんどん作っていきます。お父さんがにわからかえってきて、おふろに入りました。

ぼくがお父さんに、言いました。「どのくらいおわったの。」と、お父さんが、「ぜんぶおわったよ」と、お父さんがやればすぐにおわったのです。

 

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2020年06月24日「ぼくの一日」

朝の六時におきて、学校に行きます。学校からかえってきて、まずぼくは、おふろにはいります。どうしてかと言うと、さいきんは、コロナがはやっているのと、かえってきたらとてもあせをかいているのでまずおふろにはいります。

つぎに、べんきょうです。そのあとに、ごはんを食べて、はをみがいて、後は、ねたら、おしまい。

 

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2020年06月28日「六月二十八日」

今日は、はじめて、ぼくのお兄ちゃんがきゅうじつにテニスぶでかつどうする日です。

ぼくの家ぞくは、ぜんいんテニスをしています。だから、お兄ちゃんは、テニスぶに入って、じょうずになったら、ぼくの家ぞくとテニスをするときに、うまくなるためにお兄ちゃんは、テニスぶに入ったのです。

 

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「そのケーキはぼくのすきなショートケーキ!ぼくの一ばんすきなショートケーキだったんです!」のそのお父さんの誕生日のそっちのけ感がハンパない。こんなに欲望に忠実な文章なかなか書けないすごい。

 

「あんかけやきそばは、ぼくにとって四つ目においしいりょうりで、一位はカレーで、二位はやきそばです」なんて、三位が気になってしょうがない。これほどまでに三位が気になる構成なかなか書けないすごい。

 

「つぎに、べんきょうです。そのあとに、ごはんを食べて、はをみがいて、後は、ねたら、おしまい」って、そんな終わらせ方アリなの。なんだか妙にしっくりきているからダメとも言えない、逆に上手いんじゃないのこれ書けないすごい。

 

「だから、お兄ちゃんは、テニスぶに入って、じょうずになったら、ぼくの家ぞくとテニスをするときに、うまくなるためにお兄ちゃんは、テニスぶに入ったのです」とか、最高に面白い。なにこれいったいどうなってんの書けないすごい。

 

はー。面白かった。

続編に期待、大。

 

 

見聞読考録 2020/10/12

呪い?呪わない?

子供:もしもしかめよー♪

子供:かめさんよー♪

子供:せかいのうちでーおまえほどー♪

子供:あゆみののろいのろわないー♪

子供:どうしてそんなにのろいのかー♪

 

子供:...ねぇねぇ,なんで呪うの?

 

両親:?!

 

 

追記:

子供:これなんて読むの?呪いって言う字に...ナントカの会。

両親:祝賀会!呪っちゃダメ!

 

...まったく,どこで覚えてくるんだか。。

 

 

見聞読考録 2020/10/03

山登りアプリあれこれ

今年は海外に行けないので,国内での調査を充実させた。調査の名目の下,山登りをたくさんできたのは,特に良かった。はぁ,幸せだ。。

 

こんなに立て続けに登ったのは,修士の頃以来だろうか。おかげで足腰のコンディションがすこぶる良い。疲れ知らずだった学生の頃には遠く及ばないだろうが,だいぶ感覚を取り戻せた。山登りはやはり素晴らしい。。

 

さて,時代は移ろい,昨今はガラケなどというものを使っていた学生の頃と違ってお手軽に様々な便利アプリを使うことができるようになっている。気になるアプリケーションを見つけたので,メモっておきたい。

 

Relive - esri
https://www.relive.cc/?hl=ja

 

YamaReko - YamaReko Inc.
https://www.yamareco.com

 

Yamap - Yamap Inc.
https://yamap.com

 

Geographica
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.keiziweb.geographica&hl=ja

 

Gaia GIS - Trailbehind Inc.
https://www.gaiagps.com/

 

個々に紹介したいところだが,時間がない。

気になる方は,お試しあれ。

 

 

見聞読考録 2020/09/24

台風 10 号

ものすっごい勢力の台風が猛威を振るっている。

 

中心から遥かに離れたここ京都でも,今日は不穏な空模様だった。

今まさに暴風に晒されている地域は大丈夫だろうか。

 

何年も前にフィリピンを直撃したハイエンを思い出した。

酷いことにならなければ良いが。。

 

 

見聞読考録 2020/09/06

なぜ私たちはいつも締め切りに追われるのか?

研究室の後輩に面白いものを教えてもらった。松尾豊博士の書かれた "論文" である。論文の体裁を取っているが,出版されたものだろうか。それとも,フェイクだろうか。しかし,内容は確かに斬新で面白く,普遍的かつ有意義である。素晴らしい研究であると絶賛したい。

 

松尾豊 - なぜ私たちはいつも締め切りに追われるのか?

http://ymatsuo.com/papers/neru.pdf

 

下記に一部,抜粋する。

 

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【Summary】

研究者はいつも締め切りに追われている。余裕をもって早くやらないといけないのはわかっている。毎回反省するのに,今回もまた締め切りぎりぎりになる。なぜできないのだろうか?我々はあほなのだろうか?本論文では,研究者の創造的なタスクにとって,締め切りが重要な要素となっていることを,リソース配分のモデルを使って説明する。

 

【はじめに】

我々は,よく締め切りに追われている。締め切り間際にバタバタする人を,水口(2006)ではバタ男と呼んでいるが,研究者は少なからずこの傾向があるのではないだろうか。

(中略)

従来から,作家が締め切りに追われて編集者にホテルに缶詰にされるなんて話はよくあるが,こういった傾向は普遍性が高いものかもしれない。つまり,締め切り直前になるのはそうならざるを得ない理由があるということである。

 

ネルー値の提案】

松尾らは,研究者における精神的ゆとりを現す単位,ネルー値を提案している(松尾・他,2006)。「今日,このまま寝てしまっても締め切り等に影響がない状態」が 1 ネルーであり,「n 日寝てしまっても締め切り等に影響がない状態」が n ネルーである。今日締め切りの仕事をまだ達成していない状態は 0 ネルーである*1。まずは,タスクの効率的な遂行には,現状のネルー値が低い状態を抜け出して,高いネルー値にした上で,タスクの最適な配置を行わなければならないというのが,筆者のひとつめの考えである。

*1 一部に,ネルーは「寝る」だという安易な説があるが,インドの首相ジャワハルラール・ネルー(1889~1964。ガンジーの父である)がこの概念を最初に唱えたという説が専門家の間では有力である。

 

【まとめと今後の課題】

集中力を上げるのは大変である。人は,集中力を上げることをできるだけ節約する傾向があるようにも思える。しかし,忘れてはならないのは,創造的な仕事は,集中しなければ進まないことである。集中力は多くの場合,時間の制約がなければ上げにくいものであって,締め切りはそれに寄与しているから,我々はいわば締め切りのおかげでパフォーマンスを出せるわけである。しかし,締め切りの直前にやることが重要なのではなく,集中力を上げることが重要であると理解する必要がある。我々が反省すべきは「早めにやっておけば良かった」ではなく,「もっと集中すべきだった」である。追い込まれなくても集中力を上げるために自分なりの方策を編み出していくことは,研究者が健康で文化的な最低限度の生活を送る上で,欠くことのできないスキルではないだろうか。そのスキルは,高いネルー値を可能にし,さらなる仕事の効率化につながり,今日もよく寝れるというわけである。

 

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はぁぁ,笑った。最高。

抜粋はしなかったが,一連のアイディアは数理モデルによって示されている。数理モデルって素敵。。

 

 

見聞読考録 2020/08/21

線香花火の科学

故・寺田寅彦(博士)について調べていた。日本を代表する戦前の物理学者のひとりであり,随筆家でもあった,多才な偉人である。

 

線香花火の面白さを盛んに吹聴していた人物でもあった。線香花火のような身近な存在にも物理学的・化学的な面白さを見出し,他者とは違う視座を持っていた。線香花火がパチパチと何段にも爆ぜる様子を寺田博士は松葉火花と呼んだが,それがどのようなメカニズムで生じるのかという未解明の問題に興味を持たれたようだった。

 

身近なものにも科学を見出す,というのは僕には大いに納得できる。現代では科学によって世界中の不思議が解き明かされてしまったかに思われているようだが,科学が解き明かした謎の先には新たなる謎が姿を現すだけである。見方を変えれば今でも世界は未解明の課題で溢れている。

 

飛んで 2017 年,井上智博(博士)らによって線香花火の生成メカニズムがついに解き明かされることになる。10 万枚 / 秒の撮影を可能にする超高速カメラを用いることで肉眼では捉えられない現象を理解することができたそうだ。井上博士ご本人による解説を発見したので,ここに貼っておきたい。メモとして。

 

井上智博 - 線香花火の科学 episode 1~7
https://fireworks-lab.com/author/inoue/

 

Chihiro Inoue et al, 2017. Direct Self-Sustained Fragmentation Cascade of Reactive Droplets. Phys. Rev. Lett. 118, 074502.
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.118.074502

 

 

見聞読考録 2020/08/20

終戦の日

8 月 15 日は,日本の終戦記念日である。負戦に先立ち 8 月 6 日には広島に,9 日には長崎に原爆が投下されている。

 

雲一つない広島に、原爆は落とされた。1945年8月6日はこんな日だった - HUFFPOST
https://www.huffingtonpost.jp/2015/08/04/news-august-6_n_7930770.html?ncid=other_huffpostre_pqylmel2bk8&utm_campaign=related_articles

 

長崎に原爆が投下された1945年8月9日は、こんな日だった。写真や記録を振り返る - HUFFPOST
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5f2cc66cc5b6b9cff7ef7035?utm_medium=popin_rec_desktop

 

太平洋戦争に日本が敗戦して今年で 70 年,つい最近のことである。子供の頃から聞かされ続けてきた身としては,痛ましい思いはあれ,日本とはそういう国くらいの認識でいたが,年を取って世界を知るにつけこれら一連の出来事が歴史的に見ても類を見ない凄惨なものと気付かされた。本当にただ事ではない。小学生の頃には,楽しい夏休みの最中に唐突に重苦しい記念日を押し付けられ,ちょっと迷惑,くらいにしか思わなかったものだが,今の私にとっては 8 月のこの時期は極めて重い。悲しみと苦しみから来るその重みを年々増しているようだ。

 

軍国主義に走った日本の過ちを二度と繰り返してはならない。そんなきな臭い話は今の時代には無縁,と言い切れるような世界に残念ながら我々は生きていない。そのことを皆が毎年欠かさず認識することこそ,犠牲者に報いることではないだろうか。

 

原爆の被災者,および戦死者の方々へ,黙祷を捧げる。

 

 

見聞読孝録 2020/08/15