見聞読考録

進化生態学を志す若手研究者のブログです。NZ 在住。

線香花火の科学

故・寺田寅彦(博士)について調べていた。日本を代表する戦前の物理学者のひとりであり,随筆家でもあった,多才な偉人である。

 

線香花火の面白さを盛んに吹聴していた人物でもあった。線香花火のような身近な存在にも物理学的・化学的な面白さを見出し,他者とは違う視座を持っていた。線香花火がパチパチと何段にも爆ぜる様子を寺田博士は松葉火花と呼んだが,それがどのようなメカニズムで生じるのかという未解明の問題に興味を持たれたようだった。

 

身近なものにも科学を見出す,というのは僕には大いに納得できる。現代では科学によって世界中の不思議が解き明かされてしまったかに思われているようだが,科学が解き明かした謎の先には新たなる謎が姿を現すだけである。見方を変えれば今でも世界は未解明の課題で溢れている。

 

飛んで 2017 年,井上智博(博士)らによって線香花火の生成メカニズムがついに解き明かされることになる。10 万枚 / 秒の撮影を可能にする超高速カメラを用いることで肉眼では捉えられない現象を理解することができたそうだ。井上博士ご本人による解説を発見したので,ここに貼っておきたい。メモとして。

 

井上智博 - 線香花火の科学 episode 1~7
https://fireworks-lab.com/author/inoue/

 

Chihiro Inoue et al, 2017. Direct Self-Sustained Fragmentation Cascade of Reactive Droplets. Phys. Rev. Lett. 118, 074502.
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.118.074502

 

 

見聞読考録 2020/08/20