小学生の書く文章というのはどうしてこうも面白いのだろう。もとい,自分が小学生のときに書いた文章はたぶんちっとも面白くなかった,作文は嫌いだった。大嫌いだった。
ウチの二番目の子の書いた文章だから,面白いのだろう。彼は,なかなか文才がある。一番上の子もとても文才があるが,こちらはもはや大人顔負けの上手な文章を書くので面白くないので紹介しない。
というわけで,二番目の子の日記をここに,全世界に向けて発信したい。学校の宿題としてやっつけ仕事で書かれたこれらの日記である,片付けのできない二番目の子の手にかかれば,油断した隙に「もう捨てた」などと言われかねない。どういうかたちでも残しておかなければいけない気がする。需要があるかどうかは知らないが。。
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2020年04月22日「誕生日」
今日はお父さんの誕生日。
ほんとうは、今日ではない、じつはバヌアツという国での誕生日ででもそのときはお母さんのケーキが食べられなかったから今日、お母さんがお父さんにケーキを作ってくれました。
そのケーキはぼくのすきなショートケーキ!ぼくの一ばんすきなショートケーキだったんです!
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2020年04月23日「にわ(1)」
ぼくは、今日の日をたのしみにしていました。
どうしてかと言うと、今日ぼくは、にわにやさいをうえるために、にわをきれいにしました。
そのさい中にだんご虫を三ひき、ミミズを二ひき、見つけました。
そうしているあいだにもうごはんができそうになりました。だからもうおふろに入りゆっくりしました。
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2020年04月24日「にわ(2)」
今日ぼくは昨日のつづきをやりました。
ぼくは今日もたのしみにまっていました。今日はだんご虫を四ひき、くもを三ひき、ガを一ぴき見つけました。
ざっそうぬきをしているあいだにもうごはんができそうになったから、お母さんの手つだいをしはじめました。でも体がきたないのでおふろに入ってからごはんを食べることにしました。
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2020年04月26日「にわ(3)」
今日もぼくはにわで土をたがやしていたら、お兄ちゃんがきて、てつだいをしてもらいました。
そしたらお父さんもきててつだいをしてもらいました。にわの土は石がたくさんあります、だから石と土をわけました。
そのあいだにパンを作っていてそのパンはちぎりパンでもちもちでいつもよりおいしいパンでした。
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2020年05月01日「朝ごはん」
今日の朝ごはんは、あんかけやきそばです。
あんかけやきそばには、うずらのたまご、にんじん、しいたけ、ちんげんさい、ぶた肉が入っていました。
あんかけやきそばは、ぼくにとって四つ目においしいりょうりで、一位はカレーで、二位はやきそばです。
あんかけやきそばはほんとうにおいしい食べものです。
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2020年05月02日「せんたっき」
朝おきて、ごはんを食べていたら。トラックがきて、なんかをはこんできました。
それはせんたっきでした、そのせんたっきは白で、大きいせんたっきです。
この家には、ぴったりのいろでした。せんたっきがくるのがおそかったからそのあいだは、コンランドリーでせんたくしていました。
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2020年05月14日「時間がやばい」
今日は、と山をする日、今日と山する山は、高社山、高さは千三百五十一メートルで、スキー場です。
でも今日は、と中からのぼります。スタートした時間は五時です。六時になりました。ぼくはグニャグニャみちをあるいています。七時にやっとちょうじょうにつきました。そこでおだんごを食べていたら、くらくなってきました。ぼくたちは、はしって、じょうきゅうしゃコースをいそいでかけぬけました。かえってきた時間は八時になりました。
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2020年05月28日「にわ(4)」
今日は、ひさしぶりににわをやろうと思ったら、にわにくさが、はえていたから、なんのくさかにおいをかいでみたら、そのくさは、しそだった。
だからお父さんが、言いました。「そのしそとっといて。」そのあとにわの土をすてるさぎょうをしました。
やっとにわの三分の一が終わりました。つかれました。
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2020年06月10日「にわ(5)」
今日は、お父さんが大学でしごとをしています。大学に行く前に、ぼくにこう言いました。
「にわやっといてね。」そう言われてお母さんとやさいをかいに行きました。
もともと、家にはしそと、ねぎしかうえていません。そこでトマトをかってうえました。水をあげるのにじょうろを作って水をあげました。
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2020年06月16日「にわ(6)」
ぼくが学校からかえってきて、工作をしていたら、お父さんがにわで土をほりはじめました。
お父さんが土をほっているあいだに、ぼくは、どんどん作っていきます。お父さんがにわからかえってきて、おふろに入りました。
ぼくがお父さんに、言いました。「どのくらいおわったの。」と、お父さんが、「ぜんぶおわったよ」と、お父さんがやればすぐにおわったのです。
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2020年06月24日「ぼくの一日」
朝の六時におきて、学校に行きます。学校からかえってきて、まずぼくは、おふろにはいります。どうしてかと言うと、さいきんは、コロナがはやっているのと、かえってきたらとてもあせをかいているのでまずおふろにはいります。
つぎに、べんきょうです。そのあとに、ごはんを食べて、はをみがいて、後は、ねたら、おしまい。
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2020年06月28日「六月二十八日」
今日は、はじめて、ぼくのお兄ちゃんがきゅうじつにテニスぶでかつどうする日です。
ぼくの家ぞくは、ぜんいんテニスをしています。だから、お兄ちゃんは、テニスぶに入って、じょうずになったら、ぼくの家ぞくとテニスをするときに、うまくなるためにお兄ちゃんは、テニスぶに入ったのです。
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「そのケーキはぼくのすきなショートケーキ!ぼくの一ばんすきなショートケーキだったんです!」のそのお父さんの誕生日のそっちのけ感がハンパない。こんなに欲望に忠実な文章なかなか書けないすごい。
「あんかけやきそばは、ぼくにとって四つ目においしいりょうりで、一位はカレーで、二位はやきそばです」なんて、三位が気になってしょうがない。これほどまでに三位が気になる構成なかなか書けないすごい。
「つぎに、べんきょうです。そのあとに、ごはんを食べて、はをみがいて、後は、ねたら、おしまい」って、そんな終わらせ方アリなの。なんだか妙にしっくりきているからダメとも言えない、逆に上手いんじゃないのこれ書けないすごい。
「だから、お兄ちゃんは、テニスぶに入って、じょうずになったら、ぼくの家ぞくとテニスをするときに、うまくなるためにお兄ちゃんは、テニスぶに入ったのです」とか、最高に面白い。なにこれいったいどうなってんの書けないすごい。
はー。面白かった。
続編に期待、大。
見聞読考録 2020/10/12