見聞読考録

進化生態学を志す研究者のブログ。

想記

新天地での再出発

4月1日より弘前大学へ異動しました。准教授として自身のラボを持ちます。 弘前は街も大学も周囲の環境もとても良さそうなので,これからが楽しみです。 引越しの片付けも含め最初は諸々の手続きや事務処理がたいへんで,早くも死にそうになってますが。。 20…

関東大震災から 100 年

10 万人以上が亡くなった関東大震災。実体験として当時を語れる人はもういない。 震災から 22 年後,再び一夜で 10 万人以上が亡くなった東京大空襲に至るまでの悪夢のような道筋については,多くの書物に語り継がれている。 www.tokyo-np.co.jp 個人の活動…

幼児と老人

昨年夏に生まれた双子ももう7ヶ月,今月には8ヶ月を迎える。早かったような,たいへんだったような。。現在進行形で全力の毎日なので,振り返る余裕もなく,何とも言いがたい。 特に妹ちゃんの方がお兄ちゃんよりも明らかに発育が早く,寝返りもスイスイだ…

東日本大震災から 10 年

今日で,東日本大震災からちょうど10年を迎える。 もう10年も経ったのか,早いものだ。 東北大学での修士課程をちょうど終えたタイミングでの被災だった。 修士課程での出来事は遠い昔のように感じるのに,東日本大震災の記憶は今もまだ生々しい。 今もまだ…

終戦の日

8 月 15 日は,日本の終戦記念日である。負戦に先立ち 8 月 6 日には広島に,9 日には長崎に原爆が投下されている。 雲一つない広島に、原爆は落とされた。1945年8月6日はこんな日だった - HUFFPOSThttps://www.huffingtonpost.jp/2015/08/04/news-august-6_…

日本人間行動進化学会の声明文

最近騒がれている自民党による科学の誤謬に対する指摘と抗議を,日本人間行動進化学会が表明した。素晴らしい声明文と思う。一読の価値がある。 「ダーウィンの進化論」に関して流布する言説についての声明https://www.hbesj.org/wp/wp-content/uploads/2020…

子供の思考回路

地球が丸いのはなぜだろう,と子供が問うた。 たくさんの隕石がぶつかって,角が削れたんじゃないか,と言う。 でも,隕石がぶつかったらクレーターができて,もっとボコボコになっちゃうでしょ? それなのにどうやって,地球を丸くしたの? ...それなら,隕…

川那部浩哉博士のインタビュー

面白い記事を読んだ。 前川光司・渡辺勝敏(2020)インタビュー「先達に聞く」:川那部浩哉.魚類学雑誌 67: 138–156 歴代の大先生がたくさん登場し,戦後日本の生態学がいかに形成されてきたかを垣間見れる。同時に,日本の生態学の未来に思いを馳せた。 私…

日常英語

こんなメールが来た。 "Hi something has come up will visit at 1pm if thats ok" 英語は,主語・述語・目的語の順で並びます。なんて習ってきた我々には,極めて難解な英語に違いない。 省略のない本来の英文に書き直すと,下記のようになる。 "Hi, someth…

環境危機と世界の動向

最近の日本のニュースは,ため息とともに頭を抱えるようなものばかりだ。 今日見たこの記事も,それ。 「外国人が働きたい国」で日本が 33 カ国中 32 位 - #SHIFT 憂鬱になる一方,ショッキングだとは思わない。 感想としては,「まぁそうだろうね」といった…

ショートショート!

作家・星新一の作品のことではない,電化製品のショートである。 ボカン!と派手な音を立てて,愛用の電動工具がひとつ,弾け飛んだ。 電圧の違いをすっかり忘れていた。とても大事にしていたのに,わざわざ日本から持ち込んだほどだというのに,スイッチオ…

Happy Merry Christmas!!

お隣さんから,クリスマスカードが届いた。宛名に Yuuta (?) と書かれている。 なんと素晴らしい。素敵すぎる。 思えばここに越してきたその日にも,すでに手紙が投げ入れられていた。入居祝いと称して,常日頃からお隣で開かれているパーティに混ぜてもらっ…

他人の反応

自らの発言,あるいは行動に対する他人の反応がどうしても気になってしまう。 僕だけではないはずだ。 オランダの人たちだって,気にしていないわけはないだろう。 だが,時にまったく気にしていないように見えるときがある。 では,どうして僕は他人の反応…

人間万事塞翁が馬

人間万事塞翁が馬(じんかんばんじさいようがうま,淮南子(えなんじ))。 本当にその通り。 K さん,ありがとうございます。 見聞読考録 2017/04/18

脳筋カタツムリ?!

殻を振るカタツムリの話が日刊工業新聞というメディアに紹介された。 Yahoo! ニュースにも再び。 発掘!イグ・ノーベル賞(9)北海道大学−殻で敵を殴るカタツムリ(動画あり) 日刊工業新聞,2017/02/03 決して引きこもらず、敵に殻を投げつけるカタツムリ …

色つきのお金,腐るお金

お金には色がない。 だから,資本主義は難があるのではないか。 もし色のついたお金があったらどうだろう。 白いお金,黒いお金,赤いお金,青いお金。 例えば今日みたいにお店でパスタを食べても,あなたのお金は黒いので受け取れません,なんて言われる世…

明けまして2016年

2016年は,正月から長野県北東部の根子岳(2,207m)へ。 菅平高原・奥ダボススキー場のリフト降車口から標高差約 600m/片道約 3.5km の行程を,スキー板を担いで登った。山スキーやスノーシューのようなものがあれば良かったのだが,あいにく持ち合わせがな…

多様性とは何か

今年度,研究費を助成してくれていたとある財団から,簡単な文章の執筆を依頼された.それを書き上げたあとの残りカスをここに貼っておく. - Ph. D とは、Doctor of Philosophe の略であり、博士号の称号を指す。すなわち「哲学博士」と訳して差し支えない…

アパルトヘイトと差異の承認の政治 ー 亀井伸孝氏による論説

昨今,世間(全世界)を騒がせている,曽野綾子氏による人種差別発言が繰り広げられたのは,2015年2月11日の産経新聞の朝刊でのことだった. 「もう20〜30年も前に南アフリカ共和国の実情を知って以来、私は、居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふう…

研究手法の発達とその弊害

ここしばらく,高価な試薬やキットを使う実験をさせていただいているのだが,ラボの学生さんが結構頻繁に失態をやらかす. つい数日前は修士の学生が,一つ十数万円もする試薬パッケージを種類を間違えて解凍してしまっていた(一度解凍すると,使うしかない…

帰国/外から眺めた日本列島

金曜夜にロシアより無事帰国。 ちょっと見ぬ間にここ札幌もすっかり肌寒くなった。 ウラジオストクと気候がほとんど変わらないので、特に驚きはしなかったけれども。 今日は天気が良かった。これぞ秋晴れと言うべき爽やかな一日。 昨日も一昨日も天気が良く…

ろうそくの光に明るい未来を思い描く夜

北大キャンドルナイトなる素敵イベントに出くわした。 せせらぎの音を聞きながら、静かに演奏されるクラシックギターの音色に耳を傾けるという、大学構内とは思えないロマンチックなイベント。「アナと雪の女王」の主題曲が流れたときは、大きな拍手が起こっ…

STAP細胞ー外部刺激による体細胞の初期化ー小保方博士の大発見

歴史的な発見となるだろう、衝撃的な研究成果が発表されたのは、つい数日前のこと。カチコチに固まったジョウシキをくつがえすようなこういう研究は本当に偉大だ。ジョウシキってなんだ?それを疑ってこその研究者であるはずだ。そういう意味でも、最高にか…

ライム病疑惑

腰が痛いから皮膚科に行こう、という意味不明のエントリーを残したのは、6月19日のこと。あれからかれこれ3週間、ようやく本調子に戻りつつある。しかし思い返してみても、これまで経験したことがないほど、ひどい腰痛であった。 特に何か重い荷物を持っ…

マクロレンズな日曜日

ついにミラーレス一眼を買ってしまった。 選んだのは、Panasonic LUMIX DMC-GH2。 最近、後継機 GH3 が出たこともあって、だいぶ安くなっていた。高かったけれども、お得感たっぷりなお買い物。 2011年の中国での調査の前日に購入した愛機、RICOH の GX200 …

心のノートに対する批判

さっき、ラボの先輩と夕飯を食べて来た。 最近、ラボ内、というかその先輩との会話がアツい。 今日の議題は、「批判とは、どのようにされるべきか」。 例によって研究絡みのディープな議題。 - 人によっては、人生をかけて研究をしている。 だから、言葉を選…

あれから2年、と1日

にわかには信じがたいことだが、東日本大震災からもう2年の歳月が過ぎたそうだ。ついこの間のことのように思うのは、やはり当時の衝撃が大きく、未だにそれを引きずっているからだろうか。 昨日今日と、震災関連の記事が多く上がっている。そんな中、被災地…

なぜ生物の学名にラテン語が使われるのか?

なんだか最近元気が出ない。 寒くなって来たからだろうか。 うーむ。ここは無理矢理にでも元気出して頑張らねば...そうだ、ラテン系音楽でも聞いてみよう。 ラテン系音楽といえば、ちょっと前に、キューバ人が近くにいたときに仕入れた "Vem Dançar Kuduro" …

課題

総勢26名もの大所帯で極東ロシアを旅したのは、今年9月の後半のこと。博士課程の学生やら大学の教授陣やら森林保護を目指すNPO法人の方々やらといった、濃ゆーいメンバーとの旅だった。 旅、といっても観光が目的ではない。 希望者だけが受けられる大学院の…

言葉メモ

"すべての歴史的事柄に対する「説明」は、必ずそれが起こった後でなされるものだということは、心に留めておく必要がある" "考察と解釈が必ず時間をさかのぼって行われるというのは、歴史学の本質なのだ" Mark Buchanan, 2000 水谷淳(訳) 見聞読考録 2012/…