見聞読考録

進化生態学を志す研究者のブログ。

Arctic Awakening

地球温暖化とそれに伴う気候変動,また深刻な海洋汚染に関する素晴らしい動画を見た。2017年に私が滞在していたスバールバル諸島の基地が舞台になっている。私もお世話になった Dr. Geir Wing Gabrielson もかっこよくしゃべっている。

 

vimeo.com

温暖化は時々刻々と進行し,今このときも我々は正しいアクションを求められている。このまま行けば,これを読むあなたが生きている近い将来にも,人類は深刻なダメージを負うことになるだろう。今の子どもはたいへんね,とかそういう他人事の話ではない。今を生きる我々こそが,自らの行いのツケを払う当事者となる可能性が高い。

動画の最後に,美しい文言が紹介されている。忘れぬよう,ここに書き留めておきたい。

 

10 things society must to do to respond to the crimate crisis
Aligned with the United Nations Sustainable Development Goals

1. Replace fossil fuels
2. Thenk circular, eliminate waste
3. Reduce land use to produce more with less
4. Restore our ocean
5. Reduce food waste, eat less meat
6. Tackle gender inequality
7. Restore our forest
8. Electrify our transport systems
9. Reinvent our carbon-intensive cities
10. Redifine definitions of success

 

日本列島の外から見ていると,この頃の日本はどうも世界の流れについていけていないように思える。グレタ・トゥーンベリさんに端を発する世界中の人々の爆発的な訴えにも,日本の反応は鈍い。ここニュージーランドでは,中高生らが中心になって学校をストライキしてまで気候変動を訴えるデモ行進も見られている。例えば,コレ。

 

izumi.world

学業こそが学生の本文,などと人は言うが,休むと言ったってたかが一日二日のことである。むしろ,学校を休んでデモに参加したほうがよほど勉強になるだろう。それくらい,内容の濃いものであったようだ。子供からして,地球の危機に対する意識の持ち方が違う。

 

片や日本はいったいいつまで,のうのうと過去の栄光にすがりついているのだろう。

 

世界は時々刻々と移ろう。いつの時代にあっても我々は,聞く耳と勇気を持って変わり続けなければ,時代に置いていかれるのは当然のことであろう。

 

ルイス・キャロルの「赤の女王」も,それから私の敬愛する進化生物学者,ウィリアム・ドナルド・ビル・ハミルトン博士も,そう言っている。

 

 

見聞読考録 2019/11/12

ラグビーワールドカップ

ニュージーランドオールブラックスが,昨夜の三位決定戦でウェールズに大勝し,オールブラックスは今回の W 杯のすべての試合を消化した。あの強い強い南アフリカやらアイルランドやらウェールズやらに勝っての三位である。今大会で初めて決勝リーグに進み,強豪・南アフリカに破れたものの日本ラグビー史上初めてベスト8に輝いた日本からすれば素晴らしい戦績だと思うのだが,ニュージーランドの人々からすればそうではないらしい。さすがは世界で最も成功したスポーツチームと呼ばれるだけのことはある。はるか雲の上の高みにあるオールブラックスにとっては,勝って当たり前。オールブラックスの試合の前にニュージーランダーが話題に上げる内容は,勝つか負けるかではない。どれくらいの大差をつけて勝つか,とそういう話ばかりであるという。それがもし負けようものなら,ニュージーランダーが「世界の終わり」のように嘆くというのは,本当のことのようだ。

 

「世界の終わり」 オールブラックスの敗退に母国衝撃 - ラグビー W 杯
https://news.livedoor.com/article/detail/17291795/

 

オールブラックスイングランドに負けた翌日,奇しくも私は調査を兼ねた旅行の最中だった。牧場に囲まれた田舎のバーで話した革ジャン姿の地元のオジサンたちは,ワールドカップに話が及んだ途端,死んだような目になった。その時点で私はイングランドとの試合があったことを知らず,うっかりオールブラックスの応援をして,昼間からビールを流し込む愛すべき荒くれ者たちを怒らせてしまうところだった。何やら神妙な空気を感じて去ったが,危ないところだった。

 

イングランドに負けた翌日,ニュージーランドの新聞の第一面も,ほとんどお通夜のようであった。

 

f:id:kenbun:20191102080006p:plain


オールブラックスのワールドカップは終わった。もし詳しく知りたいならスポーツ欄へ。」

まさに「世界の終わり」と言わんばかりの真っ黒な第一面。覇気のない小さな白抜きの文字。素晴らしいセンスである。素晴らしい。

 

 

見聞読考録 2019/11/02

隣国・オーストラリア

オーストラリアのことを調べていたら,なにやらタイムリーな話題に行き当たった。

 

なんと,エアーズ・ロックことウルルの登山が禁止となるそうだ。それもあと二日で!

www.huffingtonpost.jp

知らなかった。ちょっと登ってみたかったが...。

 

理由は原住民であるアボリジニの聖地であるからだという。それを足蹴にするなどやはり許されない,とそういうことだろう。前々から議論があったことは耳にしていた。原住民が嫌がるのなら,仕方がないだろう。

 

というか,あれほどの世界的な観光地で,原住民の文化を引き合いに登山禁止を決めたのはすごい。ただのお遊び登山より,独自の風土が培ったオリジナリティ溢れる文化そのものに価値があるという判断は理に適っているし,何より人道的である。先進国としてのオーストラリアを垣間見るようだ。

 

日本の先住民と言えば,真っ先にアイヌ民族が思い浮かぶ。アイヌ独自の文化も,自然に寄り添った奥深く素晴らしいものであるが,日本政府は彼らに何をしただろう。アボリジニの聖地であるウルルが彼らの意思の下に戻ったのに対し,アイヌの聖地である平取町の二風谷はあろうことか 1997 年にダムの建設で沈められている。今からでもダムを撤去するべきだろうが,ダム湖の底に沈められた聖地が元の姿を得ることは二度とないだろう。もし今も,二風谷がただのダム湖ではなく,アイヌの文化を受け継ぐ聖地で有り続けていたならが,今頃は世界中から人の訪れるものすごい観光地となっていることだろう。アイヌの人々は未だに,迫害にあっていると聞くし,こんな馬鹿げた話はない。いや,先進国の仲間入りを気取った後進国・日本ならよくある話だろうか。

 

二風谷ダムのできた 1990 年代ならいざ知らず,巨大ダムや原子力発電などの大型施設はもはや過去の負の遺物となりつつあるし,無為にプラスチックを消費することもためらわれる時代になった。今やヨーロッパでは,飛行機を飛ばすエネルギー効率の悪さを懸念し,ビジネスや観光に飛行機ではなく鉄道を使うことが推奨されるようになってきているほどである。日本にその風潮が伝わるのは,果たして何年後,いや何十年後のことだろうか。

 

先進的かどうか,というものは時代によって変わる。現状に甘んじ,悪しきを放任し,改善を諦めた時点で,先進的ではありえない。1970 年代の高度経済成長期を経て,日本は裕福になったかもしれないが,日本が先進的であると誇れるのは科学/技術面だけであろう。それすらも今や怪しい。人々の精神性や政府の立ち位置などの内面はまだまだお子ちゃま,それどころか,幼い頃からいろいろと甘やかされわがままに育ってしまい自分の駄目さを棚に上げて人の足ばっかり引っ張っている大馬鹿野郎みたいな国になりつつある。

 

今はただ一人でも多く,現状を正しく把握できる人々が増えることを願う。

 

 

見聞読考録 2019/10/24

日常英語

こんなメールが来た。

 

"Hi something has come up will visit at 1pm if thats ok"

 

英語は,主語・述語・目的語の順で並びます。なんて習ってきた我々には,極めて難解な英語に違いない。

 

省略のない本来の英文に書き直すと,下記のようになる。

 

"Hi, something has come up. So I will visit at 1pm if that is OK for you."

 

急用ができてしまったので,(予定を遅らせて)午後1時に訪ねようと思うけど良いかしら? と,そういうような意味だ。

 

主語がない。ピリオドもコンマもない。しかしこれが普段,カジュアルな場で使われる英語なのだ。我々が中学・高校・大学と,何年も何年もかけて習ってきた英語など,ほんの基本に過ぎない。我々が日常会話で主語を省略するように,英語の文章だってたくさん省略され,応用されているのだ。

 

我々日本人は年代にもよるが例えば,義務教育だけでも三年,高校も含めると多くの人々は六年に渡って,英語に触れてきたことになる。以前は高校だけという時期もあっただろうが,最近はもっと若い小学校高学年頃から学び始めるようだ。さてしかし,それ相応の実力が伴っているヒトは,どれほどいるのだろう。私に限って言えば,中学・高校・大学と,かれこれ十年以上の月日をかけて英語を学んできたが,恥ずかしながら相応とはほど遠いと言わざるを得ない。特に,会話の文章を組み立て,発言する能力に至っては,壊滅的と日々感じている。

 

何しろ日本の英語教育では,会話を通した訓練はほとんどなされない。文法を習って,単語を覚えて,文章を読んで,かろうじて書き始めるようになったくらいに大学受験を迎えることになる。これじゃあ屁の役にも立ちゃしない。六年もあって,情けない。

 

本来ならば,ネイティブでも間違えるような細やかな英語の文法などを習っている場合ではなかったのだ。言語とは,使えてこそ生きるもの。実際に海外に出て使い物にならなければ,海外の人々とのコミュニケーションツールとしてはちっとも役にも立たない。今思えば,受験のためにあるような義務教育の英語など,貴重な時間の浪費に過ぎなかったとつくづく思う。ああ,私はどれほどの意義ある時間を,学校という牢獄のようなシステムに投じてしまったのだろう。特に初等教育に嫌な思い出しかない私としては,十年近い時間を不当に奪われたという感覚しか残っていない。同年代の子どもを狭い教室に閉じ込めて,本人の意志の届かぬ高みから一方的に指図をし,何年ものあいだ無理矢理に従わせるのだ。服役中の罪人と大差ないではないか。特有の環境に馴染めた人々はまだ良い。酷いいじめにあったり,心に癒えない傷を負った人々はどうすれば良いのだろう。ヒトの生きられる短い一生の中において,十年もの歳月を奪った大罪を,いったい誰が償うのだろうか。

 

日本人は勤勉であると,良く耳にする。果たしてそれが本当かどうかはさておき,もしそうだったと仮定しよう。その勤勉さは,上手くいけば強力な武器になるだろう。しかしもし,上手くいかなかったらどうだろう。勤勉さを発揮する方向を,そもそもの目的地設定を間違っていたとしたら,どうなるだろう。勤勉にコツコツと積み重ねた努力や時間が報われることはあるだろうか。

 

いや,ない。

 

そう,ないのだ。

 

そんなことはない。頑張った努力は,いつか思わぬところで自分に報いるはず,という方もいるかもしれない。むしろ義務教育で出会った教師は皆,口を揃えてそう言っていたように記憶している。

 

だからこそ,あえて声高に言っておきたい。

 

報われることなど,ない!

 

いつかどこかで,なんていう都合の良い詭弁で,子どもらを煙に巻くんじゃない!

 

少なくとも,そう思っておいた方が良いのだ。なぜなら,同じだけかけた労力を正しい目標に向けていたら,いつかどこかでと言わず,確実に得られるものがあるからである。

 

失敗することは当然ある。研究に例えれば,私など失敗ばかりである。しかし,計画の段階で防げる失敗と,そうでないものとの差は大きい。常に頭を働かせて,目的を見失わないようにしないと,全てを棒に振ることになる。

 

ここまで,日本の教育を例に話を進めてきたが,同じ問題は日本ではありふれている。職場の無駄な会議,必要のない理由書,役場の冗長な手続き,無意味な前例主義,非効率な縦割り。各々が好き勝手に,過去の栄光にしがみついた利権や,しょうもないプライド,くだらない礼儀作法や,負う必要のない見当違いな責任ばかりを気にして,日本はこのところ何も進歩がない。頭の悪いジャイアンみたいな声の大きいだけが取り柄のような愚者が,自らの保身のために政治力を発揮して,ヒトの足を引っ張り合うだけの日々を,国全体で無為に浪費している。控えめに言って,馬鹿みたいだ。馬鹿の国だ。

 

ヒトの持つ時間やエネルギーは有限である。有限な資源を,正しく割り振らなければ,得られるものなど何も残らない。ちょうど日本の英語教育のように。

 

 

見聞読考録 2019/10/21

WTF

久々に風邪を引いたので,家でのんびり。"Silver Lining" というアメリカ映画を観た。しばらく感傷に浸れる素敵な映画だった。演技もすごいし,テンポも良い。良い映画だ。

 

しかしアメリカ映画は実に頻繁に "F**k!" と言い放っている。事あるごとに "F**kin crazy! F**kin stupid!" と,まぁ口が悪い。表題の "WTF" とは "What the f**k" の略で「なんてこった!」というような意味だ。もっと口汚いから「こんちくしょー!」と訳したほうが適しているだろうか。

 

作中にもうひとつ,"What the hell" という表現が出てきた。先の「なんてこった!」を含め,いろいろな意味があるようだ。ここ NZ で,非常に多く聞かれるスラングのひとつである。激怒しているときにも,同情しているときにも,感動しているときのも使えるらしい。よくわからない。NZ ではあまり "F**k!" は使われないように思う。二年前に住んでいたオランダでもそこまで頻繁には聞かなかった。少なくともアメリカほどではないだろう。伏せ字にしなければならないような単語を言い放つのは,やはり抵抗があるのかもしれない。

 

抵抗があるゆえに流行ったのが,"What the hell" なのではないかと,ふと気がついた。同じような意味合いなのに,野蛮な意味合いがない。こうして言語は,更新されていくのかもしれない。

 

ちなみに映画のタイトルにある "Silver lining" とは,暗雲を縁取る陽光の筋のことである。"Every cloud has a silver lining" という欧米のことわざからきているらしい。どんな曇り模様にも美しい側面がある,から転じて,どんな苦境にも必ず良い一面があるというような意味として使われるようだ。美しいことわざである。

 

 

見聞読考録 2019/10/05

環境危機と世界の動向

最近の日本のニュースは,ため息とともに頭を抱えるようなものばかりだ。

今日見たこの記事も,それ。

 

「外国人が働きたい国」で日本が 33 カ国中 32 位 - #SHIFT

 

憂鬱になる一方,ショッキングだとは思わない。

感想としては,「まぁそうだろうね」といったところだ。

 

私は今,上記のランキング5位という上位のニュージーランドで,最下位のブラジルから来た若い研究者と同室に席を構え,研究を行っている。

 

ブラジルの情勢も酷い。「ブラジリアン・トランプ」とさえ揶揄される,経済成長一辺倒の大統領に振り回され,ブラジルの誇る惑星随一の広大な熱帯雨林が未曾有の大破壊を受けているところである。経済成長と言えば聞こえが良いのかもしれないが,言い換えれば金の亡者とも言う。持続可能性が叫ばれる世にあって,時代錯誤も甚だしい。

 

ああ,ここにもうひとつ,時代錯誤の国があった。日本である。我らが日本の恥さらしこと,現首相と彼の率いる内閣は,口を開けば経済経済。限りある惑星の資源を考えれば,無限の成長などありはしないことくらいすぐにもわかりそうなものなのに。「ジャパニーズ・トランプ」と言って差し支えないだろう。

 

隣り合わせの席で交わす言葉と言えば,不甲斐ない自分の出身地の愚痴ばかりである。それでもまだ,ブラジルよりは日本のほうがましでしょうと隣人は言うが,果たしてそうだろうか。自信がない。ブラジルの方がまだ,未来は明るいような気もしてしまう。

 

トランプと言えば,本物のトランプ米大統領も相変わらずやりたい放題である。世界最大の経済国の長として,彼の決定が世界の行く末に与える影響は大きいのだが,彼の環境危機に対する危機感の乏しさはよく知られた通りである。最近の動向で言えば,スウェーデンの環境活動家,グレタ・テゥーンベリさんとのやりとりは印象的だった。

 

グレタ・トゥーンベリさん,国連で怒りのスピーチ - HUFFPOST

16 歳の環境活動家グレタさん,トランプ大統領の皮肉にプロフィール変更で大人の対応 - IT media News

 

人類の引き起こしている気候変動を巡り,世界では最近,いろいろな動きがある。環境意識の高い先進国・ニュージーランドでは先日,学生の主導するデモ行進なんかもあった。中高生なんかが学校を休んで参加するようなデモである。私の目には,つまらない学校の授業なんかよりも,こちらの活動の方がよほど良い勉強になるように思えた。

 

NZ首都に四万人集結,生徒らが気候変動対策訴える「グレタも言っている!」 - AFP BB NEWS

さて,日本ではどうだろうか。不必要なことで紙媒体の書類を求め,些細なことでビニール袋を配る日本の環境意識は,世界最低クラスであるように私には見える。

 

日本の若者が,答えのある問題ばかりを相手にするくだらない受験のシステムに振り回されている間に,世界中の若者は自分の頭で地球の未来を考え,解決に向けて活動している。日本はこのままで良いのか。現行のシステムでは,日本にグレタさんのようなヒーローは生まれないだろう。

 

幻想に甘んじた臭いものにフタ精神に喝を。前例に縛られ凝り固まった考え方に勇気ある変更を。目の前の問題から逃げ回っていては解決するものも解決しない。我々にそんな時間は残されていない。

 

 

見聞読考録 2019/09/28

ラグビーワールドカップ

日本は開幕戦を勝利で飾ったらしい。素晴らしい。

 

来年のオリンピックとは違って,大会自体がとても歓迎されているように思える。ラグビーのメッカであるここニュージーランドでも,行く先々でラグビーワールドカップの話を持ち出される。いや,ここニュージーランドだからこそ,か。

 

こちらにいるうちにラグビーの試合のひとつでも見てみたいものだが,もはや帰国までの時間があまり残されていない。果たして叶うかどうか。。

 

見聞読考録 2019/09/21

息子誕生

そういえば,先月の13日に息子が誕生しました。瑞葵と名付けました,可愛いです。

生後一週間と二週間の写真をこちらに。

 

f:id:kenbun:20190903071955j:plain

生後一週間。NZ の海産貝類と共に。

 

f:id:kenbun:20190903072015j:plain

生後二週間。庭の草花と共に。

 

今日で生後三週間,ということで今日も撮影しようと思っています。

次のテーマは何にしよう?

 

 

見聞読考録 2019/09/03

熱中すると研究者はやばい

「健康には気をつけて。当たり前のことだけど,とかく熱中すると,研究者はやばいので」

 

私を救ってくれた恩人 N さんからのアドバイス。熱中すると当たり前のこともできなくなる,というのが研究者の本当にヤバいところ。思い当たる節がありすぎる。

 

N さん,いつもありがとうございます。今の私があるのは,N さんのおかげです。

 

C さんについてはもはや,言わずもがな。

 

 

見聞読考録 2019/08/09

NZ の CM はどうしてこうも格好良いのか問題

今日ご紹介するのは,私の住む NZ 北島の Palmerston North という街の PR 動画である。発行元は City Council,すなわち市役所だ。

 

www.youtube.com

どうだろうこのクオリティ! 私は今,こんなに素晴らしいところに住まわせていただいているのかと,図らずも誇らしい気分になってしまった。

 

これを見て,Palmy に移り住んでくる人もいるかもしれない。すでに住んでいる人にとっても,自分の住む街がこれほどまでに良いところだと思えれば幸せだろう。

 

大事なことなので二度言うが,発行元は City Council である。ウェブサイトだって美しい。あら,なんか良いトコそう!

f:id:kenbun:20190804134406p:plain

 

大して日本のはどうだろうか。悪い例に出してしまってちょっと可哀想だが,昨年まで住んでいた札幌市のものを見てみよう。ごちゃごちゃっとしていて見にくいと私は思う。無意味な情報の洪水に飲み込まれるようだ。なんというかこう...,札幌ってもっと良いトコだよね?!

f:id:kenbun:20190804134509p:plain

 

続いて 2017 年に住んでいたオランダの都市・フローニンゲンのウェブサイト。NZ ほどの感動はないが,それでも極めて明快に,住人に優しく寄り添った仕様になっていることがわかるだろう。必要な項目がシンプルに,視覚的にも明確に並べられている。

f:id:kenbun:20190804134908p:plain

 

さて,皆さんの住む街の HP はどうだろうか。是非,視点を変えて見てみると良いだろう。PR 動画がある場合は見てみよう。大抵は見ていて悲しくなってくると思う。日本の行政のデザインはそれほどまでにひどい。

 

恥ずかしくないレベルのものがあれば教えてほしい。私が知っているのだと,コレなんかは素晴らしい。うっかり小林市に住みたくなってしまう。

https://www.youtube.com/watch?v=jrAS3MDxCeA

 

デザインや芸術を,無意味と蔑ろにするからこういうことになる。遊ぶこころを大切に,頭をもっとやはらかく,生きていきたいものである。

 

 

見聞読考録 2019/08/04