見聞読考録

進化生態学を志す研究者のブログ。

WTF

久々に風邪を引いたので,家でのんびり。"Silver Lining" というアメリカ映画を観た。しばらく感傷に浸れる素敵な映画だった。演技もすごいし,テンポも良い。良い映画だ。

 

しかしアメリカ映画は実に頻繁に "F**k!" と言い放っている。事あるごとに "F**kin crazy! F**kin stupid!" と,まぁ口が悪い。表題の "WTF" とは "What the f**k" の略で「なんてこった!」というような意味だ。もっと口汚いから「こんちくしょー!」と訳したほうが適しているだろうか。

 

作中にもうひとつ,"What the hell" という表現が出てきた。先の「なんてこった!」を含め,いろいろな意味があるようだ。ここ NZ で,非常に多く聞かれるスラングのひとつである。激怒しているときにも,同情しているときにも,感動しているときのも使えるらしい。よくわからない。NZ ではあまり "F**k!" は使われないように思う。二年前に住んでいたオランダでもそこまで頻繁には聞かなかった。少なくともアメリカほどではないだろう。伏せ字にしなければならないような単語を言い放つのは,やはり抵抗があるのかもしれない。

 

抵抗があるゆえに流行ったのが,"What the hell" なのではないかと,ふと気がついた。同じような意味合いなのに,野蛮な意味合いがない。こうして言語は,更新されていくのかもしれない。

 

ちなみに映画のタイトルにある "Silver lining" とは,暗雲を縁取る陽光の筋のことである。"Every cloud has a silver lining" という欧米のことわざからきているらしい。どんな曇り模様にも美しい側面がある,から転じて,どんな苦境にも必ず良い一面があるというような意味として使われるようだ。美しいことわざである。

 

 

見聞読考録 2019/10/05