最近の日本のニュースは,ため息とともに頭を抱えるようなものばかりだ。
今日見たこの記事も,それ。
「外国人が働きたい国」で日本が 33 カ国中 32 位 - #SHIFT
憂鬱になる一方,ショッキングだとは思わない。
感想としては,「まぁそうだろうね」といったところだ。
私は今,上記のランキング5位という上位のニュージーランドで,最下位のブラジルから来た若い研究者と同室に席を構え,研究を行っている。
ブラジルの情勢も酷い。「ブラジリアン・トランプ」とさえ揶揄される,経済成長一辺倒の大統領に振り回され,ブラジルの誇る惑星随一の広大な熱帯雨林が未曾有の大破壊を受けているところである。経済成長と言えば聞こえが良いのかもしれないが,言い換えれば金の亡者とも言う。持続可能性が叫ばれる世にあって,時代錯誤も甚だしい。
ああ,ここにもうひとつ,時代錯誤の国があった。日本である。我らが日本の恥さらしこと,現首相と彼の率いる内閣は,口を開けば経済経済。限りある惑星の資源を考えれば,無限の成長などありはしないことくらいすぐにもわかりそうなものなのに。「ジャパニーズ・トランプ」と言って差し支えないだろう。
隣り合わせの席で交わす言葉と言えば,不甲斐ない自分の出身地の愚痴ばかりである。それでもまだ,ブラジルよりは日本のほうがましでしょうと隣人は言うが,果たしてそうだろうか。自信がない。ブラジルの方がまだ,未来は明るいような気もしてしまう。
トランプと言えば,本物のトランプ米大統領も相変わらずやりたい放題である。世界最大の経済国の長として,彼の決定が世界の行く末に与える影響は大きいのだが,彼の環境危機に対する危機感の乏しさはよく知られた通りである。最近の動向で言えば,スウェーデンの環境活動家,グレタ・テゥーンベリさんとのやりとりは印象的だった。
グレタ・トゥーンベリさん,国連で怒りのスピーチ - HUFFPOST
16 歳の環境活動家グレタさん,トランプ大統領の皮肉にプロフィール変更で大人の対応 - IT media News
人類の引き起こしている気候変動を巡り,世界では最近,いろいろな動きがある。環境意識の高い先進国・ニュージーランドでは先日,学生の主導するデモ行進なんかもあった。中高生なんかが学校を休んで参加するようなデモである。私の目には,つまらない学校の授業なんかよりも,こちらの活動の方がよほど良い勉強になるように思えた。
NZ首都に四万人集結,生徒らが気候変動対策訴える「グレタも言っている!」 - AFP BB NEWS
さて,日本ではどうだろうか。不必要なことで紙媒体の書類を求め,些細なことでビニール袋を配る日本の環境意識は,世界最低クラスであるように私には見える。
日本の若者が,答えのある問題ばかりを相手にするくだらない受験のシステムに振り回されている間に,世界中の若者は自分の頭で地球の未来を考え,解決に向けて活動している。日本はこのままで良いのか。現行のシステムでは,日本にグレタさんのようなヒーローは生まれないだろう。
幻想に甘んじた臭いものにフタ精神に喝を。前例に縛られ凝り固まった考え方に勇気ある変更を。目の前の問題から逃げ回っていては解決するものも解決しない。我々にそんな時間は残されていない。
見聞読考録 2019/09/28