ニュージーランドのオールブラックスが,昨夜の三位決定戦でウェールズに大勝し,オールブラックスは今回の W 杯のすべての試合を消化した。あの強い強い南アフリカやらアイルランドやらウェールズやらに勝っての三位である。今大会で初めて決勝リーグに進み,強豪・南アフリカに破れたものの日本ラグビー史上初めてベスト8に輝いた日本からすれば素晴らしい戦績だと思うのだが,ニュージーランドの人々からすればそうではないらしい。さすがは世界で最も成功したスポーツチームと呼ばれるだけのことはある。はるか雲の上の高みにあるオールブラックスにとっては,勝って当たり前。オールブラックスの試合の前にニュージーランダーが話題に上げる内容は,勝つか負けるかではない。どれくらいの大差をつけて勝つか,とそういう話ばかりであるという。それがもし負けようものなら,ニュージーランダーが「世界の終わり」のように嘆くというのは,本当のことのようだ。
「世界の終わり」 オールブラックスの敗退に母国衝撃 - ラグビー W 杯
https://news.livedoor.com/article/detail/17291795/
オールブラックスがイングランドに負けた翌日,奇しくも私は調査を兼ねた旅行の最中だった。牧場に囲まれた田舎のバーで話した革ジャン姿の地元のオジサンたちは,ワールドカップに話が及んだ途端,死んだような目になった。その時点で私はイングランドとの試合があったことを知らず,うっかりオールブラックスの応援をして,昼間からビールを流し込む愛すべき荒くれ者たちを怒らせてしまうところだった。何やら神妙な空気を感じて去ったが,危ないところだった。
イングランドに負けた翌日,ニュージーランドの新聞の第一面も,ほとんどお通夜のようであった。
「オールブラックスのワールドカップは終わった。もし詳しく知りたいならスポーツ欄へ。」
まさに「世界の終わり」と言わんばかりの真っ黒な第一面。覇気のない小さな白抜きの文字。素晴らしいセンスである。素晴らしい。
見聞読考録 2019/11/02