見聞読考録

進化生態学を志す若手研究者のブログです。NZ 在住。

NZ の地名

年明け2日,新しい家に引っ越した。今年2月の出国に向け,家具や家電を処分する必要があったためである。

 

こちらで知り合った友人夫妻が,我々の出国と入れ替わるように長期休暇を取っており,長らく家を空けることになっていた。そこに,我々があやかったわけだ。友人夫妻としても,長期にかけて家を空けるより,セキュリティ的に安全だと考えたのだろう。Win-Win の契約となった。

 

というわけで,年末から年始にかけて引っ越しのため大忙しだったわけだが,ちょっと面白い,いや,ちっとも面白くないのだが,面白いと思えば面白い出来事があったので書いておきたい。

 

それは,引っ越しに向けて,家財を売りさばいていたときに起こった出来事である。

 

こちら NZ では,日常の取引すべてを,Trade Me というサイトを通して行うことができる。

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この Trade Me が実によくできたサイトで,家財の売り買いだけでなく,車探しや家探し,果ては職探しまで,このサイトひとつで扱うことができる。購入者に郵送するとなれば,郵便局や宅配業者のシステムまでひとっ飛び,痒いところに手が届くたいへん便利なサイトなのである。しかも,NZ 国内からしか内容にアクセスできず,不適切な売買にはペナルティが伴うほか,出品者と購入者が互いを評価しコメントを残すことから,詐欺に合うこともほとんどない。極めて誠実な取引を期待できるのだ。日本で言えば,メルカリに近いだろうか。僕は使ったことがないので,あまりよく知らないけれど。

 

一方,これは最近になった変更されたことなのだが,Trade Me で商品が売れた際に,数%の手数料を取られるようになった。運営費用がかさむようになったのか,金儲けに走ったのか,それはわからない。そういうわけで,今回は Trade Me ではなく,Facebook の Marketing サイトも利用してみたのだ。これが良くなかった。

 

この Facebook のシステムには出品者に対しても購入者に対しても一切のペナルティもないものだった。つまり,例えば「はい!はい!買います!買います!」と声高に叫んで他の希望者を蹴落とした上で,「やっぱりやめます!」と言い出して出品者を怒らせたところで,迷惑をかけた張本人は痛くも痒くもないのである。購入希望者に対するペナルティがないというただこれだけことが,これほどまでに事態を悪化させようとは思いもよらなかった。散々やり取りした上で音信不通になったり,来ると言っていた日に来なかったり,それはもう毎度のように酷い目にあった。出品した家財の半分以上に対して,当日になって現れず,そのまま音信不通という,Kiwi っ子のとんでもないいいかげんさを見せつけられてしまった。

 

Trade Me で出品したときはトラブルにあったことはほとんどなかった。やはり自身の行いを他者に評価されるというのは心に響くものなのかもしれない。ほんの少しのシステムの違いが,ものすごい大きな結果の違いを招くことになるのだと実感した。ヒトのインセンティブを推ることの重要性を思い知らされる。

 

立ち退き日の前日までベッドの受け取り手が現れず,急遽他の希望者を募ったときには,もうダメかとも思ったが,最悪の事態はぎりぎり免れた。こちらの損害は大きかったが。。

 

昼過ぎには取りに来ると約束をしていた当日の夕方に,ついに痺れを切らして,「いつ来るの?今どこにいるの?」と連絡を取ったところ,我々の住む Palmerston North から車で8時間もかかるオークランドにいて「Ohh, no!!」などと連絡をもらったときには,もう訳がわからなすぎて言葉も出なかった。あれだけ熱烈に欲しがっていたのに,いったいどういうつもりなのか,意味がわからない。それもよりによって持ち運ぶ手段のないベッドとは...,退去日の迫る我々の気持ちにもなってほしい。彼女の頭は大丈夫だろうか。

 

そんなようなトラブルがたくさん起こった年末年始,最も衝撃的だったトラブル,ザ・トラブル・オブ・トラブルズ,ぶっちぎりの MVP が下記のものである。

 

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現在地 Palmerston North からおよそ 18 km,車で 15 分くらいのご近所に,Feilding という小さな街がある。行政区画的には Palmy の一部となるのだろうか,よくわからない。Facebook の Marketing サイトに出品した商品に,Feilding 在住の買い手が付いた。

 

「住所は 176 Cook Street West End です」

「Ae c u tmrw」

 

省略しすぎてほとんど意味不明だが,ae はニュージーランド英語で,了解というような意味。c u は see you,tmrw は tomorrow のことである。つまり,わかった。明日取りに行くと言っているわけだ。

 

さて,購入者を待つ当日。約束の時刻になっても訪問者は影もなく。待てど暮らせど一向に待ち人の現れる気配がない。

 

何の音沙汰もないまま,ついに夜になってしまった。

夜9時過ぎ。もう何度目ともわからない質問を投げかける。

 

「今どこにいるの?」

「Wllington」

「Omg」

 

ウェリントンと言えば,Palmerston North や Fielding から車で2時間もの距離にある。どうしてそうなったのか。

 

「今日 176 Cook Street を訪ねたのに,誰もいなかった。どういうことなの?」

「Wellington の?」

「Wellington の」

「Omg」

 

誰もいないのはそりゃそう,176 Cook Street 違いである。街が違う。違いすぎる。

 

これまでも随所で感じていたのだが,ニュージーランドには同じ名前の通りが多すぎる。どこに言っても Cook Street や Nelson Street があるし,Queens Avenue,Victoria Avenue,Kings Street,Prince Street などは定番中の定番である。それがまさかこのような事故を引き起こすことになろうとは...,予想だにせぬ事態であった。

 

それにしても彼の住まいから車で 15 分の距離に Palmerston North という大きな街がありながら,どうして彼は Wellington へ行ってしまったのか。こちらのプロフィールには Palmerston North 在住とあるし,それに Wellington の Cook Street は West End ではない。というか,Wellington なんて一言も... いやあんた,わかったって言ったじゃないの。いったいどういう勘違いをしたら,Wellington まで取りに行こうと思うのよ。ガソリン代の方が,購入した商品より高く付くだろうに。まるで意味がわからない。

 

「二時間もかけてドライブしたのに」

「U no say palmy」

「I am not so happy」

 

いやいや,そんなこと言われても,not so happy なのはこっちだよ。何でちっとも悪びれてないの,意味がわからない。

 

終いには言わんこっちゃない,ガソリン代を半分出せと言い出した。

 

「We both learned from today」

 

「私たちはお互いに,今日という日から学んだね」って,おいこら。こっちには非はなかろう。学んだのは向こうだけだ。こちらが学んだことと言えば,この世にはスゲぇ馬鹿がいるってことくらいだ。

 

結局,彼の努力(?)に免じて商品をタダにしてあげた。めちゃくちゃ不機嫌なめんどくさいメッセージが来ていて疲れたので,張り合うのをやめた。振り返ってみれば終始,こちらが折れたかたちである。何だこれ。すごい。新手の詐欺かもしれない。

 

以上がこの度の騒動の MVP である。

 

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最後に,生粋の NZ っ子とのチャットを通して知った,省略記述の数々をメモとして残しておきたい。

 

u = you

n = and

lil = little

tday = today

pik up = pick up

tmrw, tomrw = tomorrow

thnk u = thank you

ae = OK(Kiwi 限定)

ae?, aye? = isn't it?(Kiwi 限定)

grand = great(Kiwi 限定?)

b4 = before

hav = have

c u tmrw = see you tomorrow

swt as = sweet as(Kiwi 限定?)

wat = what

thnk u c u n morn = thank you see you next morning

o myb not = oh, maybe not

if u cn drop = if you can drop

 

もはや,現役の高校生同士のやり取りを見るような不可解さであった。まじ卍,みたいなアレである。意味はわからないけど。ネイティブ同士で使われる文章がこれかと思うと頭が痛い。

 

 

見聞読考録 2020/01/10