言わずと知れた売れっ子作家の短編集。
どの作品にも推理作家やそれに近い立場の人物が登場する。それによって話の中に階層的な世界をいくつも作り上げている作風が印象的だった。小説の中の世界と、小説の中の作家が書いた小説の中の世界と、小説の中の作家が書いた小説の中の作家が書いた小説の・・・とが巧妙に組み立てられ、まるで合わせ鏡を覗き込むような感覚。そう、あれあれ。
これまでに読んだ東野圭吾の本。
・探偵倶楽部
・名探偵の掟
・どちらかが彼女を殺した
・秘密
・探偵ガリレオ
・白夜行
・予知夢
・手紙
・さまよう刃
・容疑者Xの献身
基本的に、どれも良かった。
作品ごとに方向性が違う。書き方が違う。
もちろん意図的に変えているのだろう。
なんという挑戦心。なんという独創性。もし東野圭吾氏が研究者だったら・・・と、意味のない想像をせずにはいられない。
2010/02/30 見聞読考録