調査のため長期出張。
調査のため長期出張。
調査のため長期主張。
調査のための長期出張。
長査のためn長s気主っc張。
ちょすあのあえmっちゅうk主c雨。
そんな日々を過ごしている。
野外調査は楽しい。野外にいる時間が好きだ。
研究が好きだ。
旅行が好きだ。
冒険が好きだ。
生き物と触れ合う瞬間が好きだ。
生き物を求めて彷徨う時間が好きだ。
だが,それにしても,今年のペースは異常である。
いや,博士課程の頃まではこれくらいのペースで旅に出ることは当たり前だったので異常というほどではない。でも,久々なのだ,たぶん。
いやいや,博士を取ってからもずっと国内に海外に出ずっぱりだった。ということは,久々でもないのか。ここ2年ほどが穏やかだった,と言い換えた方が良いか。
ほんのわずかな平穏を経ただけで,異常な頻度のような気がしているということか。しかも昨今のコロナ禍もあり,全て国内旅行である。楽勝,と思っていたのだ。4月までは。
だが,ラボにいるよりも野外にいる方が多くなると,デスクワークが疎かになる。
書き仕事が溜まる。
当然,サンプルも溜まる。
最低限のノルマをこなして,宿題を放置したまま,次の旅に出る。
上乗せされるように書き仕事が溜まる。サンプルが溜まる。アホほど溜まる。
打ち込まなければならないデータが溜まる。
管理しなければならない GPS ログが溜まる。
先の出張報告が,次の出張計画が,レシートが,事務処理が,溜まりに溜まる。
楽しかったはずの調査が辛いだけのものとなるわけではなく,相変わらず楽しくて仕方がないのだが,久々の調査にあるあの待ち遠しさ,眠れぬほどの興奮は薄れてしまう。処理が追いついていない山積みの仕事から思わず目を背けたくなる。
そして,現実逃避に走ることになる。
今回辿り着いたのは,小説家・中山七里さんの『いつまでもショパン』であった。セコマ(北海道のご当地コンビニ,セイコーマート)の本棚に見つけ,タイトルに惹かれて手に取った。手に取ってしまった。
そして,絡め取られた。
手に取ったが最後,圧倒的な筆力で,ページ繰る手が止まらない。ミステリーの面白さも去ることながら,演奏シーンの疾走感が凄まじい。音楽好きにはたまらない著作であった。
そして,調査にも実験にも支障が出始めている。
北海道の山中での調査では,誘惑を振り切れずにザックに忍ばせてしまったため,山頂で小一時間も物語の世界にのめり込むハメになった。炎天下の中,想定外の長居に腕は焼け,しばらくはヒリヒリと痛んだ。
調査から帰るなり中山七里さんの音楽シリーズ5作をまとめ買いし,1作目の『さよならドビュッシー』から2作目『おやすみラフマニノフ』,最初に手に取り調査中に読み終えてしまった3作目『いつまでもショパン』,4作目『どこかでベートーベン』までを一気に読み終えてしまった。
どれもこれも本当に面白い。読み始めたが最後,止めようと思ってもなかなか止められない。研究に支障が出始めているどころの騒ぎではなかった。出まくっていた。
そして,一昨日の熱海での土石流である。
4作目『どこかでベートーベン』では,崖崩れと土石流が物語の根幹に関わっていた。偶然ではあるが,物語が現実となったような事件に衝撃を受けた。現実に起こった災厄も凄まじかったが,小説に書かれた災害の描写の正確さにも二度驚いた。
今回の土石流については,人災としての一面もあると聞く。犠牲となった方々に哀悼を。怪我をされた方々,避難を強いられている方々にもお見舞い申し上げる。そして,逸早く事態が収束し,正しく原因が究明されることを願う。
そして,結局のところ,山中七里さんの小説は面白いというそれだけを,今日は書きたかったのだ。ミステリー小説としても良いが,それよりも音楽関連の物語として,僕は好きである。例え実生活に支障が出ているとしても,後悔はない。それくらい良い小説であった。
遅れはこれから取り戻す。今日,これから。
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これまでに読んだ中山七里さんの本。
・さよならドビュッシー
・おやすみラフマニノフ
・いつまでもショパン
・どこかでベートーベン
見聞読考録 2021/07/05