見聞読考録

進化生態学を志す研究者のブログ。

残酷な天使のテーゼ

宮城県南三陸町に来ている。雨が降っている。

 

ここ数年の東北での調査は基本的に,毎日のように登山をするので,調査旅行が始まるといつの間にか朝5時には目が覚めるようになってしまう。おかげで,夜9時には眠くなる。おじいちゃんみたいな生活だが,とても気分が良い。

 

昨晩 21:00,現地に到着するとほぼ同時に,防災無線から何か知らない音楽が流れていた。定時になると音楽が流れるのは,田舎特有な気がする。実家もそうだった。夕方 17:00 時のチャイム,からすもいっしょにかえりましょでお馴染みの「夕焼け小焼け」が流れる度に,やかましいわほっとけ,と子供ながらに思ったものである。案の定というか何というか,子供の頃は日が暮れて辺りが真っ暗になるまでずっと,原っぱとか竹やぶとかで遊んでいた。夕方のチャイムなど知ったこっちゃないという感じだった。

 

毎日,定時にチャイムを鳴らすことには,災害の際にスピーカーがきちんと機能するよう機材の点検も兼ねているらしい。そんな重要な意味があるとは知らなかった。

 

ちなみに,南三陸町で昨夜 21:00 に流れた曲は「南三陸あなたの海へ」というご当地ソングであるらしい。ご当地ナントカというのは割と好きかもしれない。この世界が画一的で多様性に乏しいつまらないものにならないために,一役買っている気がする。

 

朝 06:00,「残酷な天使のテーゼ」が流れてビックリした。おかげで,スッキリと目が覚めた。新世紀エヴァンゲリオンというアニメ?の主題歌?だったと思うが,観たことがないのでよくわからない。友人が好んでタイトルのデザインをプレゼンに使っていたので,気になっていろいろ調べて勉強したが,設定が難しくて結局よくわからなかった。ストーリーはもっとよくわからなかった。なんか暗いな,と思った気がする。世紀末エヴァンゲリオンの方が合っている気がした気がする。こちらは何でも,作曲者が南三陸町出身であるらしい。曲はとても良いと思う。歌詞はやっぱりよくわからない。

 

防災無線の曲として選んだのは,三浦毅さん(震災当時 51 歳)という南三陸町危機管理課長補佐(震災当時)だった方だそうだ。朝日新聞 Digital の 2023年03月10日付の記事に書かれていた。東日本大震災で亡くなられている。

 

来る前から覚悟はしていたが,ここにいると何を調べても先の震災に行きついてしまう。奥さんである三浦ひろみさん目線で語られる記事があまりに痛ましい。保存されている防災対策庁舎を心して見に行かねばならないと思った。

 

今から行ってくる。雨だけど。

 

 

見聞読考録 2023/07/15