見聞読考録

進化生態学を志す研究者のブログ。

東北調査より帰還

野外調査のため,東北地方に行っていた。好天に恵まれまくった有難い旅程であった。帰学後,真っ黒に日焼けした姿を晒して,夏休みの小学生みたいと笑われること多数。この年にもなって小学生かと笑われるのも考えものだが,それも有難いと感謝するべきだろう。

 

合計 18 日間に及ぶ旅路であった。まずは,所在地の京都からレンタカーで東北へ向かう。Google Maps を用いて算出すると,最初の調査地までおよそ 12 時間の運転,最後の調査地からおよそ 10 時間の運転と出る。10 時間だとか 12 時間だとかそんな長時間の連続した運転に耐える人間はいないだろう(いるのかな)。結局,SA で仮眠を取りながら二日間かけて休み休み向かい,同様に二日間かけて休み休み帰ってくることとなった。今回の旅では運転が一番しんどかった。

 

かといって,調査内容が簡単だったかといえばそんなこともなく,実に 13 日間を山に登って過ごした。15 kg ほどのザックを背負って 3 泊 4 日の縦走をこなした岩手山周辺での調査は,中でも今回のハイライトと言えるだろうか。栗駒山に登り,早池峰山に登り,安家森に登り,岩手山に登り,八幡平に登り,森吉山に登り,八甲田山に登り,和賀岳に登り,笙ヶ岳に登り,月山に登り,蔵王に登り,登りに登った幸せな旅路であった。累積標高は 1 万メートルにもなった。

 

最後は東北を直撃した台風 8 号から逃れるように,すり抜けるようにして帰還した。目的のモノも採れたし,とにかく大満足の調査旅行であった。

 

4 月 2 日から,西表・沖縄,九州,北陸,関東,北海道,そして今回の東北と続いた怒涛の今年度の調査日程もついにこれで終わり。さぁ,荒れ果てた机周りに文字通り山積するデスクワークに手をつけるときがきた。4 月から集めに集めたサンプルが山と積まれている。不在の間に置かれた郵便物や事務関連の仕事がまるでタワーのようだ。不在の間に納品された新品の機材や電子機器も幅を取る。間に広告やらセミナーの案内やらが挟まれているのは本当にやめてほしい,頼むからゴミを配らないでほしい。眺めているだけでやる気が削がれる,とんでもないデスク環境である。しかし,ついに手をつけるときがきた。

 

見聞読考録 2021/08/01