見聞読考録

進化生態学を志す研究者のブログ。

グロテスクな侵略者

横殴りの雨が窓を叩いている。無人の研究室にまで音を鳴らす雨風が心をも乱すようだ。


昨日、札幌近郊の円山公園でびっくりするような生き物を見つけた。
これ↓



俺はコイツを知っている。2011年にドイツでいっぱいいた奴だ。
名をマダラコウラナメクジという。日本では当然、外来種である。


2006年に茨城県土浦市で発見されてから、急速にその勢力を拡大していることを風の噂で耳にしていた。まさか、ここ北海道でも見ることになろうとは。。


全長15cmはあっただろうか。もう成体だろう。しかも短時間で2匹も目撃した。もうすっかり定着して、増殖しているに違いない。


ざっと検索してみると、少なくとも昨年、あるいは2012年には札幌近郊に姿を現すようになったようだ。本当にごく最近、侵入したばかり、ということになる。ドイツで見た様子から察するに、これから、森の隅々まで、また畑や民家の庭先にもわらわら出現することになると思われる。原産地では農業害虫としても悪名高いだけに、今後大きな問題として取り上げられる可能性は高い。さながら北方版の、アフリカマイマイというところだろう。


ああ、なんてことだ。これから何処に行くにも、あんなのと対面しないといけないと思うと、憂鬱である。生態系にはどんな影響が出るのだろうか。猛烈な増殖力を思えば、何も影響がないとは考えにくい。新たな病原性の寄生虫が繁栄したりはしないだろうか。広東住血吸虫の復活、なんて考えるだけで寒気がする。


自身の研究にも何か影響を与えそうで怖い。在来種の減少なんてことも起こるかもしれない。そうなったら、その捕食者であるオサムシ類も困るだろう。僕の研究も立ち行かなくなってしまう。


植物検疫所もこれを認知しているようだが、何か具体的に対応しているのだろうか。今からでも、どうにか駆除できないだろうか。こういうのは初期の対応が大事だと思うのだが。。


見聞読考録 2014/07/27