雪は少ないし、雨は降るし、ひどく残念な冬だった。
まだ3月も半ばだというのに、札幌の街にはほどんど雪も残っていない。
昨日も盛大に雨が降った。
明日からはついに10℃を上回る天候が続く。
悲しい。冬が終わってしまう。
隣のバングラディッシュ人は人の気も知らずに大喜びしている。
「私は雪なんかだいっ嫌いだわ!」
「これで例年よりあったかいっていうの、どうかしてるわ!」
「北海道は年の半分が冬ですって!おお神よ!」
「ああなんていい天気なの、早く冬なんて終わってしまえばいいのに!」
最初こそ面白かったが、一冬聞かされていたらだんだん不愉快になってきた。
僕は冬が好きだって言ってるでしょう。キンと冴えた空気が好きなのよ、シンシンと降り積もる深い深い雪が好きなの。
というより、季節らしい季節が好きなのだろう。
冬は冬らしく、猛烈に寒くあってほしいわけ。
暖かい冬とか寒い夏とかそういうのは嫌なわけ。
だいたいあんた、それならなんで北海道きたのよ。研究テーマだってまだ決まってないくらいなんだから、やりたいことがあってきたわけでもないだろうに。
こちとらもうオサムシが出てきてしまうんじゃないだろうかと、戦々恐々としてるんじゃ。学会なんか行ってる場合とちゃうんやないやろか、冬眠明け逃したら来年までおあずけや、どないしよどないしよって夜も眠れんいうに、冬が終わってもうたらかなわんわ。察してくれ。
見聞読考録 2016/03/15