見聞読考録

進化生態学を志す研究者のブログ。

行動観察

ここのところ、訳あって研究対象の生物の行動を観察している。


しかし、行動観察というものは難しい。
ほとんどはじめて体験する数々の障壁に頭が痛い。


それはやはり行動というものが、ある程度の方向性を持ちながらも必ずしもその方向に沿うとは限らないことに起因している。個体によっていくらかのばらつきがあるということだ。そしてその原因の一部は、実験の条件を整えることが困難であるということに起因していると思う。
例えば、人為的に刺激を与えて行動を観察する場合、その刺激をどの場所に、どのように、どの程度の強さで与えるかという問題が生じてくる。さらに、たった一度の刺激では観察された行動がその個体のポテンシャルを反映していない可能性もぬぐいきれない。かといって、間を置かず回数を重ねると“慣れ”や“疲労”を蓄積させ、本来持っている行動パターンを観察できなくなるかもしれない。
観察された行動をどのように解釈するのかも考えどころである。


唯一確かなことは、観察された行動は絶対だということだ。
希望的観測に流されることのないよう、生物の行動に秘められた謎に向き合っていきたい。


2010/01/14 見聞読考録