見聞読考録

進化生態学を志す研究者のブログ。

不法投棄(怒)

富士川の中下流域 凝集剤、生態系破壊か 山梨で業者が不法投棄

静岡のサクラエビ不漁と山梨のダムの関係は 川の濁りを両県調査

 

この事件は,端的に言って凄まじい。歴史に残るかの四大公害を彷彿とさせる酷さだ。

 

 この令和の世になってこのような不正がなされているとは,怒りを通り越して,嘆かわしいを通り越して,呆れを通り越して,恥ずかしいを通り越して,一周回って怒りが収まらない。静岡新聞にある山梨県に対する一問一答にも,腹が立つ。なんでこんなにも消極的なのだ。静岡新聞を読むまで知らなかったなんてそんなの信じられないし,本当に知らなかったんだとしたら情報収集力も危機感も足りなすぎる。裏金でももらっていたんじゃあないの,一枚噛んでいたんじゃあないの,と疑われて当然と言えよう。

 

指導していた責任者全員に,相当に重い処罰を与えるべき。生態系に対して,この先の未来に永久に消えない汚染を,深い深い傷跡を残した罪は重い。それでなくとも,下流域の農家さん,駿河湾の漁師さんや,保護団体の皆さんも,専門家らも,それに静岡新聞を始めとするメディアの方々も,黙ってはいないだろうと思うが。

 

しかし,いつまで経ってもこの手の痛ましい事件が絶えない。こうなるともう,現行のシステムに問題があると考えて,徹底的に対策を打つべきである。罰則を重くするのも一つの手かもしれないが,恐らくそういう事後の厳罰化はそれほどの効果を上げないだろう。それよりも,不法投棄をする動機をなくすようシステムを改善すべきだろう。人々のインセンティブに目を向けなければ,未来永劫,同様の問題は絶えないだろう。本を正せば,資本主義社会に無理があるということに落ち着くのだろうから,ゆくゆくは主義そのものにも改善を加えることも視野に入れるべきだろう,と僕は思う。だろう。

 

 

見聞読考録 2020/12/28