見聞読考録

進化生態学を志す研究者のブログ。

小笠原旅行記 1.父島上陸 2010/02/25

ぼちぼち書いてみましょう。
小笠原、旅の軌跡。


まず初めに。
Q. 小笠原ってどんなとこ?


A. 日本とは思えないような絶海&常夏の島々。
なんて言ったら怒られるかしら。以下、説明書きのそれっぽく書いてみる。


小笠原諸島はフェリーの出る東京都港区竹芝桟橋から南南東へおよそ1,000km、沖縄と同程度の緯度まで南下した位置にある島群。日本最南端の沖ノ鳥島、最東端の南鳥島を含む。海洋島
島の名称は基本的に親戚関係を表す単語で表現される。父島、母島、兄島、弟島、姉島、妹島、聟(ムコ)島、嫁島、媒(ナコウド)島、姪島、孫島、双子島。実に面白い。あるいは方位を表す単語もよく使われる。北之島、北港、北浦、北岬、南島、南崎、東島、東港、東山、西島。実に単純だ。しかし、父島に行っても南崎、母島に行っても南崎じゃぁ混乱するだろうに。
行政区分としては東京都。諸島全域=東京都小笠原村の村域。品川ナンバーの車が走る。ちなみに原付は小笠原村ナンバー。
父島と母島の二つの有人島にそれぞれ2,000人、500人が居住。島民の印象=若い。いろんな意味で。
空路はない。驚き。つまり我々一般人は25.5hもの長時間、船に揺られて行くしかない。いつかチャーターしたヘリで颯爽と行き来する身分になる日が来ることを祈る。
それっぽくってどうやって書いたらいいんだ?


時は今から遡ること約一ヶ月前 (もう一月経ったのか!)。日差しのまぶしい真昼のことだった。“おが丸”こと、おがさわら丸に丸一日揺られ、小笠原諸島の玄関口、父島の二見港に上陸。
冬の最中の本土と打って変わって、常夏の潮風がお出迎え。着ていたダウンジャケットが場所を取る。



父島、二見港の遠景。右の山は旭山。


初日の午後はフリー。
不慣れな原付で山へ繰り出す。このために練習したんだもんね。


目的地は父島最大の河川、八瀬川水系。都道にほど近い登山口を登り、八瀬川支流の“常世ノ滝”を通過。さらに上流へ。高鳴る気持ちを押さえ渓流を覗き込む。



まず目を引くのは、川底を埋めるエビの大群。ヤマトヌマエビなのかなぁ。小笠原にもいたよね?



ヒラテテナガエビ、だと思う。周囲のエビと比べるとその体格差は歴然。



オガサワラヨシノボリ。小笠原諸島の固有種。


その他、石を返せばオガサワラカワニナヨコエビの一種。滑滝にはモクズガニ。水面にはオガサワラアメンボという面子。なんとも奇妙なラインナップ。カゲロウはどうした?カワゲラは、トビケラは、トンボは、一体何処へ?
さすが小笠原、さすが海洋島、といったところか。日本本土から1,000km。この距離が生物相に与える影響は大きい。大規模な生物の欠落こそ、海洋島の魅力といえる。



島の名品“ぎょさん”を購入。
役者はそろった。明日を待つ。


2010/03/27 見聞読考録