ラボの学生の博論審査会に,審査員として参加してきた。重たい仕事だった。疲れた。
博論審査会は英語では defence と呼ばれる。審査対象となった学生は,複数名の審査員(今日のでは5名)からの質問や意見に片端から答えていかないといけない。納得させないといけない。寄ってたかってボッコボコにタコ殴りにされるのを,殴り返すことなくガードし続けなければいけない。そういう会である。
今回私は審査する側の人間だったので,ボッコボコに殴るのが仕事である。ただし,実際の集団リンチと違うのは,ボッコボコに殴る方もものすごくたいへんということである。
ボッコボコに殴るためには,予め提出された数百ページにも及ぶ博士論文を隅から隅まで熟読し,予習しなければならない。自身が行ったこともないような手法や解析について,しっかり勉強し,深く理解しなければならない。
その上で,手法や文章構成などの細部だけでなく,研究の意義や方向性,科学全体に対してどのような貢献をなしたか,今後の展望や研究者としての将来像まで全体を俯瞰し,質問を重ねて指摘し,返答や解説を評価し,審査対象の学生が博士を得るにふさわしいかどうかを判断しなければならない。しんどい。むちゃくちゃしんどい。
だが,どうにかやり遂げた。はぁぁ,スッキリした。自身の研究は全く進んでいないというのに,凄まじいスッキリ感,やりきった感である。最悪だ。
このやりきった感に惑わされることのないよう,自身の仕事に戻れるだろうか。。
見聞読考録 2022/01/11