見聞読考録

進化生態学を志す研究者のブログ。

双子の兄妹はぴぎゃあと泣く

けんっ

 

けんっ

 

ぎゃぁぁあああああ

 

ぴぎゃぁぁああああ

 

双子の兄の鳴き声がこだまする。

隣で寝ていた妹ちゃんも目を覚ます。

 

ぎゃぁぁあああああ

ぎゃぁぁあああああ

 

ぴぎゃぁぁああああ

ぴぎゃぁぁああああ

 

ぎぃぃやぁぁぁあああおあぁぁあおあああぁああおあああああ

 

我が家でカオスタイムと呼ばれる混沌の始まりは,泣き声の見事なシンクロで幕を開ける。

いつ始まるのかは双子次第。夜中のこともあるし,明け方のこともある。ほとんどない日もあれば,何回も起こる日もある。

 

21:00~22:30 は訳あって毎日必ず訪れるカオスタイムなのだが,その話はまた別の機会に譲ろう。

 

耳をつんざくような双子の叫び泣きに,同室で寝ている二歳の兄も目を覚ます。

 

うぅぅぅうぇえぇええええええいやぁぁあああぁああああああ

 

ぴぎゃぁぁああああ

ぴぎゃぁぁああああ

うぇぇえぇえあああ

 

エントロピーはいや増すばかりだ。頭が痛い。

 

二歳の兄を放置して,双子を別室に連れ出す。

冷凍保存した母乳を冷水で溶かし,哺乳瓶に移し温水で温める。

 

双子を片腕に抱え,あやす。

片腕での作業は難しく,時には慌てて哺乳瓶を落とし,床にミルクを撒き散らす。

響き渡るガラス瓶の落下音に,腕の中の双子が揃って叫び出す。昨晩,深夜 1 時頃の出来事だ。

 

母乳を人肌ほどに温めたら,一人一人に与える。

二人いっぺんにあげる技をまだ習得していないので(そんな技あるのかな),一人は泣かせたままにするか,運が良ければ泣き疲れて寝てくれるのでその隙にもう一人を処理する。

 

哺乳瓶で母乳を与えるのには10分以上の時間がかかる。一回に与える量は,50~100 mL。妹ちゃんはとても優秀で,60~70 mL ほども飲めばその後 3 時間は寝てくれる。ただし,鳴き声の音量は圧倒的だし,母乳を飲んだ後のシャックリ率の高さは不憫でしかない。

 

兄ちゃんはその点,今のところたいへんで,100 mL 与えても必ず 1 時間から 1時間半おきに目を覚まして泣き出してしまう。毎回母乳を要求する訳でもなく,謎だ。謎の存在だ。

 

母乳を与えている途中で,咽せて咳き込んだり,空気を飲み込みすぎて吐いたりする。その都度,身体を起こして背中をトントンと叩いてあげる。ゲップをさせる。そうすると,母乳を十分に飲まないまますやすやと寝てしまうことがあるので,その隙にオムツを換える。うんちをしたままにしておくとお尻が被れるので,とても大切な作業である。

 

うんちを換えると大概,泣く。はいはい,うんうん,と流して,粛々と作業を終える。そして,再び母乳を与える。

 

母乳を与えると,やっぱり咳き込む。ケッホケホッ,ケホッ。ぴぎゃぁぁ。その都度,身体を起こして背中をトントンと叩いてあげる。落ち着いたらまた母乳を与える。

 

再度,母乳を与えているとブッフォォッとかプリプリプリという音を出しながら,うんちをすることが多々ある。うわっと思うけれども,めんどくさっと思うけれども,母乳を与え終わるのを待って,換える。

 

うんちを換えると大概,泣く。もうどうしようもないので,泣くがままにして,粛々と作業を終える。

 

母乳はもういらないっ!って顔になったらようやくクーファン(ゆらゆら揺れるベッドみたいなやつ)に横にする。置き方が雑とかで気に入らないと寝てくれないので,泣き出したらまた抱っこしてあやす。なかなかに神経を使う。

 

それをもう一人繰り返し,次第に秩序を回復していくのである。これを毎日 3 時間おきに繰り返す。両親はいつ寝れば良いのかと絶望する。

 

双子が生まれて早一ヶ月。NICU から退院してきてたったの一週間。毎日が激しすぎて戦慄している。これはヤバい。一週間の出来事とは思えない。双子を見事に育て上げた世の親御さんたちはいったいどうやってこの苦難を乗り越えたのだろうか。心の中で師と崇めたい。

 

戦いの日々は続く。

 

 

見聞読考録,2021/09/21