見聞読考録

進化生態学を志す研究者のブログ。

Ring Reading of Barnacle Geese

今日は,テレスコープ(フィールドスコープ)と双眼鏡を手に,動物の観察によく使われる迷彩柄のテントに篭って,鳥を観察するという貴重な体験をさせてもらった。早くも夏の暖かさが陰りを見せ,肌寒くなってきたこのスピッツベルゲン島で,およそ 4 時間にも渡って,孤独にスコープを覗き続けた。


与えられたミッションは,カオジロガンに付けられた足輪の 3 つのアルファベットを読むこと。これまでも度々やってきたが,密度の高い島に渡ってまで本格的にやったのは今日が初めてであった。南北に 1,000 m ほど,東西に 600 m ほどの島に,夏の盛りには 272 ものカオジロガンと,1,000 近いホンケワタガモの巣があったという。とんでもない密度である。今はもうもぬけの殻だったが,それでも 120 羽ほどのカオジロガンの群れが穏やかな水面を悠々と泳いでいた。


読んだ足輪の数はおよそ 50 ほど。足輪の付けられた個体のほぼ全てを読んだと思う。足先だけ岩の裏に隠れてしまっていたり,歩くのが早すぎてよく見えなかったり,思いのほか難しい。正直,あまり向いていないな,と思った。


うっかりテントに迷い込んだ,可哀想なハチとクモを,ちゃっかり採集した。
僕にはやっぱりそういうような,身近で手に触れられるものが向いているかな。


見聞読考録 2017/08/06